土と内臓
2019/10/08
だから食べ物を選ぶ
敵を飢えさせ、味方に餌をやる
オーガニック野菜がよいわけは?
鉄、亜鉛、ミネラル欠乏の原因もここに!
お客様のお一人で、すっかり大切な友人となったC様から本をご紹介いただきました。
絶対読むべき!との強いお勧めに間違いはなく、今までぼんやりと信じていた自然の摂理の大本が、鮮明な言葉で表現され、理解に前進できた思いです。日本語訳がまた素晴らしい(´▽`)
「The Hidden Half of Nature」という原題。「自然の隠された半分」とは、土の下、体内などに棲んでいる微生物達の知られざる営みを述べており、そのままの直訳でもよかったのに、わざわざ奇妙な邦題にした訳者の意図に、読み終えた今は共感を覚えます。
自然界の〝土”という存在は、私たちの身体で言うならば〝内臓”そのものなのだと、訳者は伝えているのだと思います。自然界の半分なんてもんじゃない、土は〝内臓”の役割を全てこなしている!という、この本の結論を、化学者に、医者に、農家に、詳細は読まない人にも訴えるべくタイトルで投げかけたのではないかと、私は感じました。
私たちの腸内細菌も、土壌に棲む微生物たちのごとく、ビタミンやホルモンなどの必要物質を産生してくれていることまでは聞いたことがありました。身体は食べたものを胃で溶解し小腸で吸収し、大腸で分解、代謝、脱水して、残りが土に還される、コンポストのようなものという理解はしていました。
しかししかし、地形学、地質学者と、生物、環境学者の夫婦による共著ともなると、話はそんな大雑把では済みません。
土にはまず〝歯”にあたる噛みつぶしたり切り裂いたり、刻み、すりつぶして極小化する虫たちの存在がいます。
〝ダミやトビムシは枯葉を葉脈以外全てかじり取ってレースのような細工物を残す。
ハサミムシ、甲虫類は、〝骨や靴やテニスボールでいっぱいの部屋に放された犬の群れのように”、枯葉、木材チップ、コーヒーかす、動物の死骸等から、歯のような器官を使って、有用な栄養を引きはがす。
ミミズには歯はないのに、口と胃の間にある砂嚢(鳥のように、中に細かい岩のかけらが入っている)を使って、どろどろになった落葉やその他の有機物を一日に体重の10~30%吸い込み、さらに細かい粒子にすり潰す。ミミズの体内では牛の胃のように微生物が働いて養分を吸収し、残りは土に放出する。
これらの生物によって、有機物(いわゆる植物や動物の死骸)は炭素、窒素、水素の単純な化合物程度になり、ミミズの糞は、元の土壌の5倍の窒素、7倍の水溶性リン酸塩、11倍のカリウムが含まれている。それは、歯も砂嚢もない細菌や菌類たちの栄養たっぷりな餌となり、酸と酵素でしゃぶって、植物が利用できる栄養や微量元素を作り出している。
植物は直接有機物を吸収しているよりも、有機物を養分として分解する土壌生物の代謝産物を利用している!”
学生時代、『必須脂肪酸』、『必須アミノ酸』を覚えさせられたのを思い出します。〝これらは体内では作ることができないので食べて摂らなければならない!”(今でもこう教えているのでしょうか??)
そこで、ベジタリアンや偏食がいつも攻撃されてきました。何でもバランスよく食べなければ!一日30品目摂ろうと政府が打ち出したこともありましたが、さすがにこれはあきらかに輸入品を買わせる策略でした。しかも食べすぎになります(^^;)
牛は牧草を、ミミズは土の中の有機物を食べて必要な栄養は体内で微生物が作ってくれている。人間もシカリです。本来、土には必要な全てがあり、すべては微生物がマネジメントできるのですから!
ケイ素(体内でカルシウムに転換される)、銅、マグネシウム、亜鉛などは天然に存在する岩石から取り出す菌たちがいて土壌に染み出すそうです。ここ二十年、三十年前からよく聞かれるようになったミネラル不足は、土壌微生物が十分でない環境で、化学肥料を与えて育てた野菜が多く出回るようになったことが原因なんだろうってことが、当然のごとくわかってきます。
亜鉛不足で味覚が衰退していると言われたり、サプリや錠剤を摂っている皆様、本調子でない、エネルギー不足を感じているあなた、補充すべきは単一の何かではありません!まずは腸内環境を肥沃に戻しましょう!
当たり前に虫や微生物がワンサと棲む環境で育った野菜を選び、伝統に返って漬物や発酵食品をとり、簡単でよいから自宅で調理して食べましょう。
その食物繊維が、私たちの大腸を整え、そこで活動してくれている有益な微生物たちを増殖させます。
身体には生まれながらにして親から受け継いだ微生物達がひっそり潜んで、絶滅寸前に怯えながら餌のくるのを信じて待っているに違いありません。