冷やすか温めるか
2020/01/14
冷やすか温めるか
激痛や急性期、迷うなら冷やす
膝のお痛みの軽減と回復を目指してトリートメントを続けてきたY様より、股関節の激しい痛みで歩けないとご連絡がありました。
実は膝痛から股関節の、それも激しいお痛みに移行したケースはこれで二度目です。
お一人目は80歳越えで既に膝の一方は人工関節を入れてずいぶん経過している方でした。
なんとかもう片側だけは自分の関節を残した方が自由が利くということで、初動負荷トレーニングにも通い、そこで声をかけた私のリフレクソロジーを月に何度か受け、数か月継続してくださっておりました。
80代ながらお一人暮らしで食事作りを丁寧に楽しまれ、年末は築地に買い出しに行って、高級な昆布などのよい食材を登山バックいっぱいに背負って戻られました。昔ながらのお料理だけではなく、最近テレビで見たやり方や調理器具を使って見たりなどし、お友達も時折訪れる豊かで理想的な暮らしをされていました。
ただ80代にしてはちょっと食べ過ぎていることが気になりましたが、お惣菜や市販のお弁当などを買うことはなかったし、そのご年齢なので指図はできず、そのお料理やぬか漬けをよくいただいてもおりました。
そうしたところ、あるとき突然に股関節が激痛となってトイレまでの道のりにも大変な思いをするようになってしまいました。
家に摑まる用のバーなどはなかったので丸椅子を動かしながらそれに体重を預けるように一歩一歩進むのもとても辛そうで、リフレクソロジーで痛みを取る手技でも大きな改善は見られないまま整形外科を受診。
そしてくだされた診断は「急速破壊型股関節症」
当時の私にとってその診断名は初めて耳にしたものでした。
原因もわからず、激しい痛みで日常生活に困難がありすぎることから、迷いなく人工股関節への置換手術が推奨、選択され、その入院をもって私のトリートメントは終了となりました。
しかし今ならわかることは、構造医学的解釈ですと
そもそも膝とは、股関節と足首の中間セクターであり、そのいずれかの歪みや不全が膝の痛みとして現れるのだそうです。
なのでリフレや整体で膝のケアをしていき治っていくと、今度はその膝痛の原因であった股関節の問題が露呈してくるようです。
特に上記のF様の場合は膝の人工関節によりもう一方の側の股関節や膝はかなりの負荷がかかっていました。
リフレクソロジーは内臓や身体全身にわたる循環を促すものではありますが、それによって身体全体の自己修復が行われた結果、今まで隠されていた疲労物質または老廃物の塊が流れ出したり、それを燃やすための炎症が惹起されたとも想像できます。
そして今回のY様もまた、膝痛に隠されていた元もとの損傷部位の痛みが発動したと考えられました。
実は肝臓、腎臓をこんにゃく湿布で温め、膝や股関節も枇杷葉湿布の効果がでるよう温めていました。
前回膝痛が枇杷葉で緩和されたことを聞いていたため、股関節も同様の対処としてしまったのですが、結果的にはそれは誤っておりました。
当日Y様は発熱もしており、ひどく体調は辛い状態でした。
そこにリフレクソロジーでエネルギーを送ることはよいとしても、発熱や痛みのあるお身体は冷却し安静にして差し上げるべきでした。
勤めている整骨院でも「痛みはまず冷やす」と無条件に決められており、それはいつもしていた常識のはずでしたが、当日の私はその発熱さえも解毒のエネルギーに使い、一気に排毒を押しすすめようと考えてしまいました。
今から思うとY様の内臓の処理能力を超えて大きな負荷を強いてしまったかもしれません。
結局、それまでに溜まっていた「解毒」「排毒」という内臓の仕事は関節で渋滞したような状態ではなかったかと私は思いました(今冷静に考えてみるとです)。
その後Y様はかかりつけの病院を受診し、年末からお正月にかけて入院されました。
入院三日目、股関節の痛みはいったん収まったとのことでしたが、そのまま何度か波を繰り返したことでしょう、二週間後退院されました。
そして、家で氷嚢で患部を冷やしたら幾分かお楽だとのこと。
明らかに前回の施術時、枇杷葉を当てながらとはいえ、私が温める行為をしてしまったことは間違いであったことをここに告白し、今後激しいお痛みが出ている際は無条件に冷却を選択することを教訓として得ました。
温めるということはタンパク質の変性や炎症のますますの炎上を促してしまうため、安易に行なうべきではないらしいです。
それでも温めが循環をよくし改善に働くことも確かにあり、例えば慢性的な経過で冷やしても効果のないときは試してみる価値があるそうです。
また、我が実父は臍ヘルニアで、午後までしばらく立ち仕事をしていると突出してきてなんとも辛いとのことですが、お風呂に入ってしばらく温めているとそれがひとりでにポコリと元の位置に収まって楽になるのだそうです。
あるベテラン看護師によると、「本人が冷やしたいと思うなら冷やし、寒気がするなどで温めたいときは温めればよい」とのことです。自然な欲求に従って温めたいとき、または熱間があって冷却が気持ちよく感じるときなど夫々直感に従ってよいのだと思います。(が迷ったら冷却ですね)
痛みも炎症も、それらに伴うと言われる様々な症状すべて、自然の反応なので悪い事ではありません。
しかし医療が発展した社会では、これらの症状を取ることを「治療」として行うことが多いため、私たちもいつしか出血、発熱などの症状をあってはならないものと認識するようになってきました。
冷却は症状を取り去るためではなく、お痛みをできるだけ感じにくくしつつ、そこに血液循環を促すために行います。
ヒトは病気や飢餓では死なないが、それへの恐怖によって命を落とすことがあるそうです。
Y様に、お身体に起こっている自然な反応は心配せず、リラックスして受け入れ、もちろん安静にして身体の反応に抗わないようにと申し伝えました。
恐怖や緊張は痛みを増幅し、エネルギーを消耗してしまいます。
食欲がないのに食べ過ぎてしまうことも同じです。
絶食は消化器官に休息を与えます。エネルギーは温存し回復のためにこそ使いましょう。
リフレクソロジーは神経システムを通じ内臓へエネルギーを充電します。